●新着情報20020808
内閣府主催・新しい障害者基本計画に関する懇談会(座長=京極高宣・日本社会事業大学学長)の第3回会合が8月6日、中央合同庁舎4号館で開催されました。
今回の懇談会では、前回までの委員会での検討内容をふまえ、新障害者基本計画骨子の素案(下記参照)が内閣府側から提案され、これに基づいて審議がおこなわれました。
この素案は「T.基本的な考え方」「U.基本的な方針」「V.分野別施策の基本的方向」「W.推進体制等」の4つの大きな柱で構成されており、「I.基本的考え方」と「U.基本的な方針」の冒頭には、「共生社会の実現」が強くうたわれています。
素案という形で基本的な計画骨子が明らかにされたのは本懇談会では初めてで、これに沿って今後具体的な基本計画の策定が進められていくことから、まさに注目すべき素案といえるでしょう。
「権利の視点を新計画に」との意見相次ぐ
出席した各委員からも「地域における自立生活支援という視点を前面に出すべき」「数値目標は必ず盛り込んでほしい」など、この素案についての意見が多数出されましたが、とりわけ際立っていたのがニューヨークで開かれている「国連・障害者権利条約特別委員会」傍聴団に参加した委員の意見でした。
松友了委員は「今回示された骨子素案は、障害者の権利・人権という視点からの要素が弱い。また、障害者施策を進めるうえで、もはやNGOの役割ぬきには語れない。この点でも新計画での明記が必要」と指摘。丸山一郎委員も「権利に関する問題は世界的な流れとなっている。新計画の中での位置づけが不可欠」と補足しました。
これに対し、内閣府の吉冨宣夫参事官は「(権利に関する問題について)何らかの形で新計画の中で触れる方向で検討したい」と答え、障害者の権利に関する提案には一定の理解を示しました。次回以降の懇談会の中で、これらの意見が十分反映されることが望まれます。
今回の懇談会ではこのほか、前もって委員から推薦のあった知的障害もしくは精神障害のある5名の当事者の方が意見発表をおこない、「障害者計画をつくるときは知的障害のある人を委員会の委員に」「精神障害のある人でも、安心して就労でき雇用されるよう社会環境などを整備してほしい」などの意見を発表。障害当事者の視点から強く訴えました。
<新障害者基本計画骨子(素案)>
はじめに
T 基本的考え方
(ポイント)
・ 障害の有無にかかわらず、相互に個性を尊重し支え合う共生社会の実現
・ すべての人の社会参加の機会均等
・ 障害のある人の社会参加を阻むあらゆるバリアの解消
・ 障害のある人の挑戦支援
・ 重点施策実施計画の策定
U 基本的な方針
1 共生社会実現への国民的理解
2 障害態様の特性を踏まえた施策の展開
3 障害の原因となる疾病等の予防と障害者の利便のための福祉用具、ユニバーサルデザインの開発・普及
4 自立生活のための地域体制の整備
5 経済自立基盤の強化
6 利用者本位のサービス供給
7 精神障害者施策の総合的取組み
8 IT革命への対応
9 総合的かつ効果的な施策の推進
10 アジア太平洋「新障害者の十年」を踏まえた地域内協力強化への貢献
V 分野別施策の基本的方向
1 啓発・広報
2 生活支援
3 生活環境
4 教育・育成
5 雇用・就労
6 保健・医療
7 情報・コミュニケーション
8 国際協力
W 推進体制等