第6回DPI世界会議札幌大会の開催まで、一年前となる11月3日、4日の両日にわたって、開催地である札幌において一年前プレ大会を開催した。
500人以上の参加者を見たこの大会では、DPI世界議長のジョシュア・マリンガ氏を招き、障害者の権利条約の必要性と重要性を論じあい、さらに条約と密接に結びつくわが国における障害者差別禁止法・障害者権利法の制定に向けて多くの障害当事者ならびにその関係者が力を合わせていくことを確認した。
完全参加と平等をうたった1981年の国際障害者年以降、国連においては1983年からの「国連・障害者の十年」と世界行動計画、1993年からの「障害者の機会均等化に関する基準規則」の策定とそのモニタリング等、障害者の権利の拡大、ならびに障害者の生活条件の改善に向けた取りくみが多様な形で行なわれてきた。しかしながら、未だに世界中の多くの障害者が、障害を理由にした様々な差別に取りまかれ、人権が無視された状況に置かれ続けている。特に、途上国では多くの障害者が極端な貧困状況にあり、また、障害をもつ女性など複合的な差別に直面している人々も多数いる。
こうした状況の改善を図り、障害者の社会的地位の向上にむけてそれぞれの国や地域が具体的な取りくみを展開していくためにも、障害者の権利条約の制定が急務であることを私たちはあらためて認識した。
平和な社会こそが、人としての権利が守られ尊重される社会である。そうした信念に基づき、私たちは戦争と貧困の根絶を求める。
今回の集会で、私たちは、「権利」、「移動」、「教育」、「介助」、「ジェンダー」という障害者の存在と生活にとって密接なテーマにそって、多角的な検証を行い、真に障害者の権利が尊重される社会システムと、当事者主体の生活条件整備を行うための道筋を追求した。障害者の人権が尊重され、権利を正当に行使して社会生活を営むためには、障害者一人ひとりが他の地域住民と同等な経済的な基盤や労働・教育といった社会参加の機会が完全に保障されることが必要不可欠であるという認識に立つものである。
今回の集会で得られたそれぞれの結論をより深め、より強固なものとしていくことが求められている。国際的な障害者権利条約、並びに国内法としての差別禁止法の制定に向けた動きを確かなものとして、「あらゆる障壁を取り除き、違いと権利を祝おう!」をテーマに開催されるDPI世界会議において大きな飛躍を勝ち取るための日常的な取りくみを強めていかなければならない。
この集会に集まった私たちは、第6回DPI世界会議札幌大会の成功、ならびに障害者権利条約の制定と障害者差別禁止法の創設に向けて、国内外の障害者とその関係者が力を合わせていくことをアピールする。
2001年11月4日
第6回DPI世界会議札幌大会一年前プレ大会参加者一同
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