「アジア太平洋障害者の十年」最終年記念フォーラム
募金特別委員会事務局長 松尾 武昌
■趣旨
2002(平成14)年「アジア太平洋障害者の十年」の最終年にあたり、私たち障害者団体および専門家団体は一堂に集い、最終年記念フォーラム組織委員会を設立し、「3つの国際会議」と「3つのキャンペーン」を実施することとしました。
事業の内容とその目的は、
(1)「十年」の成果を評価し、課題を明かにするとともにその推進を図る。
(2)アジア太平洋地域諸国の現状と課題を明らかにし、ポスト十年への対応を探る。
(3)第6回DPI世界会議の成功を期し、関係者の連携と協働を推進する。
(4)RIアジア太平洋地域会議の成功を期し、総合リハビリテーション分野における障害者と専門家の連携を深める。これら事業の展開を通じて、次世代へ引き継ぐ新しい障害者施策や関係者の協働のあり方を見出すべく、総力を挙げて取り組む、この4点です。
■募金活動の基本理念
「最終年記念フォーラム」カウント・ダウンは、余すところ400日です。
八代英太(衆議院議員)組織委員長は、実行委員会の発足にあたり、挨拶の中で「最終年記念フォーラムは障害当事者団体、関係団体が一致協力し、われわれ自身の手によって『草の根の手づくりの』記念事業としよう!」と訴えました。この「草の根の手づくりの」という考え方はフォーラム事業すべての基本理念となるものです。そして、このフォーラムの成功は、一重にわれわれの募金活動にかかっているといえます。
主催関係者による「草の根の手づくりの」募金活動こそが、フォーラムを成功に導く原点であることを自覚し活動を展開していかねばなりません。
■キャンペーンで、何を訴えるのか
しかし、関係者自らの力をもってしても、なお資金不足が見込まれる厳しい状況であることは否めません。この不足を補うため、広く国民各層、経済界、助成団体等にもご寄附を仰ぐこととしております。その際、このフォーラムの意義を国民一般市民の方々に本当に理解していただけるかが問題で、いささか不安です。
募金活動は、何としても国民一般市民の方々の共感を得ることが重要なのです。
私たちは、「3つの国内キャンペーン」(1)資格制度の欠格条項撤廃、(2)市町村障害者計画の策定、(3)ITアクセス環境の整備、に取り組みますが、それだけでは国民一般市民に訴えるパンチ力が欠けています。私たちの運動が、障害者運動に止まらず国民一般の市民生活上、身近な問題であることを訴え続けることが大切であると思います。
これに関して、このフォーラムを国会の場から応援してくださる橋本龍太郎・元総理大臣は、「AP10ニュース」に激励文を寄せてくださいました。その中で、ご自身の体験を語られ、「挑戦する障害者に公平なチャンスを!」では「障害をもった父親の後ろ姿を見て成長したこと」「国立大学の障害者入学制限の撤廃を訴えたこと」について述べられています。
また、「21世紀バリアフリー化社会の実現を!」の中では、「これまでの福祉は<社会的弱者への特別な配慮>という視点から整備されてきたが、これからは障害者・高齢者への配慮はすべての人にとって有用であるという<ユニバーサル・デザイン>の考え方に発想を転換すべき時代だ」と訴えておられます。
これこそ私たちがめざすノーマライゼーション社会の実現に他ならず、全国共通のテーマではないでしょうか。
そして、われわれ関係者は「草の根の手づくりの」基本理念をしっかりと胸に刻み、募金活動に臨もうではありませんか。
(2001年度「JDジャーナル」9月号より)